フランス語の書きとり・聞きとり練習―中級編

仏検2級を意識した構成であることは、本の帯からも明らかで、読み上げスピードも、（外国語学習者にとっては）速く感じると思います。１９９０年代前半のことを題材に取った課が多いところに、「古さ」を感じるのが残念。。【聞き取り編】それぞれの課のレベルが一定していないので、前から順番にこなす必要はあまり感じません。内容理解を問う設問（日本語での設問）が子細に設定されているので、逐語訳できなくても、大意がつかめればそれでよろしい、という編者のスタンスが見受けられて、大変よい構成だと思います。私は、長文の聞き取りの経験数（テーマに関する周辺語い）が圧倒的に不足しているので、「聞き取り編」の１３課と１８課（特に１８課）は、ヘロヘロになりながら書き取り、設問の検討などをする状態でした。【書き取り編】ディクテ用と銘打った教材（自習で使えるもの）は本当に数が少ないですが、「書き取り編」12題も、あますところなく取り組めば相当力がつくと思います。欲を言えば、「書き取り編」は「聞き取り編」に比べて使用されている単語のレベルは高いとは見受けられなかったので、読み上げ文の和訳文を載せる代わりに、仏語の関連表現の記述を厚くしたり、聞き取れないときに、論理的に推論してディクテ文を完成させるための着眼点などの記述があればこの値段でも異論はほぼ出ないと思いました。（初心者向けとはいえ、「着眼点」の記述で眠気を起こさせないフランス語書き取りトレーニングは、この意味で秀逸です。）