ナチュラル・ナビゲーション: 道具を使わずに旅をする方法

「マニュアルとして期待すると読めない」とのレビューがありますが、まさにそのとおりです。しかし、著者グーリーはこの本の序文部分で「この本はサバイバルマニュアルとは一線を画すものである。」といったような主旨を述べていて、それを求めるなら他をあたるように諭しています。彼が言うに、サバイバル･ナビゲーションとナチュラル･ナビゲーションは別物で、芸術や感性的な部分の有無にその相違があるそうです。読んでいると「なるほどな」と思えるほど、彼の自然への造詣の深さを感じます。というか、ある程度自然に対する知識がないと、結構置いてけぼりを喰らうかもしれません。また、手引書ではなく読み物といった体裁なので、自然を愛する人には読めても、「情報」を求めてこれを購入する人には不向きかもしれません。すぐに応用できるようなものを求めるなら、かの有名なベア･グリルスのサバイバル本をオススメします(かなり濃く実用的)。読んでいて思ったのは、なにより地球の奥の深さ。五感を研ぎ澄まし、自然の囁きを聞き分ける能力が身に付けば、どれだけ素晴らしいことか、読みながらひしひしと感じました。まぁ邦題の「道具を使わずに旅をする方法」というのが、なんとも安直に捉えられがちですので、★を一つ減らしました。